人類が70年以上追い求めてきた「夢のエネルギー」が、ついに商業的現実となりつつあります。Commonwealth Fusion Systems(CFS)が建設中の核融合実証炉SPARCが、2027年に世界初の商業的に意味のある核融合エネルギーを生み出す見込みです。
フュージョン・パワーが商業的現実となる
— Chubby♨️ (@kimmonismus) January 7, 2026
Bob Mumgaard CEO:
「核融合はもはや科学プロジェクトではない。テック業界の次の大きな革命だ。」
Commonwealth Fusion Systemsとは
Commonwealth Fusion Systems(CFS)は、2018年にMITからスピンオフした核融合スタートアップで、現在業界をリードする存在です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立 | 2018年(MITスピンオフ) |
| 資金調達 | 約30億ドル(約4,500億円) |
| 主要投資家 | Nvidia、Google、三菱、Bill Gates |
| 従業員 | 500名以上 |
| 本社 | マサチューセッツ州デベンズ |
2024年8月には8億6,300万ドル(約1,300億円)のシリーズB2ラウンドを完了し、Nvidia、Googleを含む30社以上から出資を受けています。
SPARCとは何か?
SPARCは「Soonest/Smallest Private-Funded Affordable Robust Compact」の略で、CFSが建設中の核融合実証炉です。
SPARCの革新的技術
SPARCはトカマク方式を採用しています。これは「トロイダル・チャンバー・マグネティック」の略で、強力な磁石を使ってプラズマを超伝導磁場内に閉じ込める設計です。
| 技術要素 | 仕様 |
|---|---|
| 磁石数 | 18個の高温D型超伝導磁石 |
| 磁石の強さ | 理論上、空母を水から持ち上げる力 |
| 目標Q値 | Q > 2(投入エネルギーの2倍以上を出力) |
| プラズマ温度 | 1億度以上 |
建設進捗状況
CES 2026で、CFSはSPARCの最初の磁石がトカマクホールに設置されたことを発表しました。
- 2025年3月:クライオスタットベース(低温槽の土台)設置
- 2025年中旬:トロイダル磁場磁石「パンケーキ」の半数以上を製造完了
- 2026年1月:最初の磁石を設置
- 2026年末:組み立てほぼ完了予定
- 2027年:初のプラズマ生成
Bob Mumgaard CEO:
「部品が届き、組み立てが進んでいる。複雑なレゴセットのようなものだが、良い説明書と人材が揃っている。」
AI×Nvidia×Siemensの革新的提携
CFSの特筆すべき点は、AIと先端技術企業との深い連携にあります。
デジタルツインの構築
CFSはNvidiaとSiemensと提携し、SPARCのAIドリブン・デジタルツインを構築しています。
| パートナー | 役割 | 提供技術 |
|---|---|---|
| Nvidia | AIシミュレーション基盤 | Omniverse、AIライブラリ |
| Siemens | 産業ソフトウェア | 設計・製造ソフトウェア |
| Google DeepMind | AI最適化 | 「コパイロット」機能 |
デジタルツインにより、エンジニアは物理的な機械を開けることなく実験やデータ分析が可能になります。
Mumgaard CEOの比喩:
「Google DeepMindは『コパイロット』のような役割を果たし、Nvidiaのデジタルツインは『バーチャル飛行機』として機能する。」
ARC:世界初の商用核融合発電所
SPARCで実証された技術は、ARCという商用発電所に展開されます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名称 | ARC(Affordable, Robust, Compact) |
| 建設予定地 | バージニア州リッチモンド近郊 |
| 稼働予定 | 2030年代初頭 |
| 発電容量 | 400メガワット |
| 供給能力 | 約30万世帯 |
| 歴史的意義 | 世界初の電力網接続型商用核融合発電所 |
ARCは、安定した電力を電力網に供給する世界初の核融合発電所となる見込みです。
なぜ核融合が「夢のエネルギー」なのか
核融合エネルギーが注目される理由を改めて整理します。
核融合 vs 現行エネルギー
| 特性 | 核融合 | 核分裂(原発) | 化石燃料 |
|---|---|---|---|
| CO2排出 | ゼロ | ゼロ | 大量 |
| 放射性廃棄物 | 極めて少ない | 長期保管必要 | なし |
| メルトダウン | 物理的に不可能 | リスクあり | N/A |
| 燃料供給 | ほぼ無尽蔵 | ウラン(有限) | 石油・ガス(有限) |
競合他社の動向
核融合業界は今、激しい競争の中にあります。
主要プレイヤー
| 企業 | 支援者 | 特徴 |
|---|---|---|
| CFS | Nvidia、Google、Bill Gates | トカマク方式、最も進んだ建設 |
| TAE Technologies | Trump Media(60億ドル合併) | 初の上場核融合企業 |
| Helion | Sam Altman、SoftBank | Microsoft向けシアトル発電所計画 |
米国エネルギー省の支援
CFSは政府からも重要な支援を受けています。
米国エネルギー省(DOE)は、CFSのフルスケール・トロイダル磁場(TF)磁石の厳格な性能試験結果を検証し、マイルストーンベース核融合開発プログラムから800万ドルを授与しました。これは同プログラムで最大の支払い額です。
AIデータセンターとの関係
核融合エネルギーが特に注目される背景には、AIデータセンターの爆発的な電力需要があります。
- Helion:Microsoftのデータセンター向けに発電所を建設予定
- CFS:Nvidiaの投資は、将来のGPUファームへの電力供給を見据えている
- Google:DeepMindとの提携は、AIとエネルギーの相互関係を示す
AIの発展には膨大なクリーンエネルギーが必要であり、核融合はその最有力候補なのです。
投資家にとっての意味
核融合業界への投資機会が拡大しています。
注目すべきポイント
- TAE Technologies:Trump Mediaとの合併で初の上場核融合株
- 関連企業:Nvidia、Siemens、三菱などの技術提供企業
- サプライチェーン:超伝導磁石、クライオジェニクス技術企業
- ユーティリティ企業:核融合発電を導入する電力会社
今後のマイルストーン
| 時期 | マイルストーン |
|---|---|
| 2026年末 | SPARC組み立て完了 |
| 2027年 | 初のプラズマ生成、Q > 1達成 |
| 2020年代後半 | ARC建設開始 |
| 2030年代初頭 | ARC稼働、400MW発電開始 |
まとめ:「夢」から「現実」へ
Commonwealth Fusion Systemsの進捗は、核融合エネルギーが「永遠に30年先」から「あと数年」の現実になったことを示しています。
重要ポイント
- ✅ 2027年:SPARC初のプラズマ生成(Q > 1達成予定)
- ✅ AI連携:Nvidia × Siemens × DeepMindのデジタルツイン
- ✅ 2030年代初頭:ARC商用炉で30万世帯に電力供給
- ✅ クリーンエネルギー:CO2ゼロ、メルトダウンなし、燃料無尽蔵
AIの発展に必要な膨大なクリーンエネルギー。気候変動への対応。エネルギー安全保障。核融合はこれらすべての課題に対する解答となる可能性を秘めています。
Mumgaard CEOの言葉通り、「核融合はもはや科学プロジェクトではない。テック業界の次の大きな革命だ」。2027年のSPARC稼働が、その言葉を証明する瞬間となるでしょう。


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